十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

Chai法律相談(189)「息子に相続させる旨の遺言、先に息子が亡くなった場合は?」

【質問】
 私が亡くなったら、息子と娘が相続人になります。私は、息子家族と私名義の自宅で同居しているのですが、息子と娘が相続でもめないように、自宅については息子に相続させる旨の自筆証書遺言を作成しています。息子が私より先に亡くなった場合は、息子の子(孫)に相続させたいのですが、作成した遺言書で孫が直接相続することはできるでしょうか。

【回答】
遺言書は無効となり、孫は遺言では自宅を相続できません。

 自宅を息子に相続させる旨の遺言をした後、息子が遺言者であるあなたよりも先に亡くなった場合、特段の事情がない限り遺言は無効になります。孫は代襲相続人の立場になりますが、遺言により自宅を相続することはできず、孫と娘との間で遺産分割協議を行う必要が出てきます。

 孫に確実に相続させることを望むのであれば、遺言書を改めて作成し、「自宅は息子に相続させる。息子が遺言者より前に死亡したときは、自宅は息子の子(孫)に相続させる」などの予備的な遺言をしておく必要があります。実際には特定のため、自宅や息子、孫については正確に記載してください。自宅の特定は、登記事項証明書の写しを財産目録として添付する方法でも構いません。

 なお、自筆証書遺言は紛失の恐れなどもあります。あなたの意思を確実に残すためには、自筆証書遺言書保管制度の利用や公正証書遺言の作成についても検討してみてはいかがでしょうか。

今回の回答にご協力いただいたのは
[平井智子 弁護士]

事務所/倉本・平井法律事務所
    帯広市東2条南7丁目2-3
Tel:050・3786・1570


※質問・回答はChai編集室の責任でまとめています。

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※フリーマガジン「Chai」2024年9月号より。