十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

Chai法律相談(186)「父の遺産を勝手に使ってしまった兄に対し、どのような手段をとることができますか」

【質問】 
 父の死後、相続人は兄と私の二人きりなのに、その兄は唯一の遺産である預金1,000万円を私に無断で払い戻し、勝手に使ってしまいました。私の相続分があるはずだと主張しても、「使ってしまったものはもうない」の一点張りです。自分の相続分を確保するためにはどのような法的手段をとることができるでしょうか。

【回答】
家庭裁判所の遺産分割調停の手続きをとることができます。

 従来は、相続開始後に使われてしまった預金は、相続人全員の同意がなければ遺産分割の対象にはできず、損害賠償請求や不当利得金返還請求という民事訴訟をする必要がありました。しかし、平成30年7月に相続にまつわる法律が大きく改正。相続開始後に共同相続人の1人または数人により遺産が処分された場合は、処分をした相続人の同意がなくても、処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなせるようになりました。

 本件については、訴訟ではなく家庭裁判所の遺産分割調停も利用できます。調停は、訴訟よりも手続きが簡便で割安なので、まず遺産分割調停を申し立ててみてください。

今回の回答にご協力いただいたのは
[鈴木茂雄 弁護士]

事務所/帯広市西4条南10丁目34
Tel:0155・20・2227


※質問・回答はChai編集室の責任でまとめています。

<法的トラブルで困ったら>
◆[釧路弁護士会・法律相談センター]
毎週木曜13時30分~16時30分、釧路弁護士会帯広会館(帯広市東8南9)、料:1件30分以内5,000円、完全予約制(Tel:0154・41・3444、9時~17時)
◆[「法テラス」連絡先]Tel:0570・078374(通話料全国一律3分8.5円、平日9時~21時)
※一定条件で無料相談も。
◆[Chai法律相談・誌面回答]
FAX:0155・24・9190、〒080-8688 住所不要、「勝毎Chai法律相談所」あて

Chai法律相談
十勝管内の弁護士が法的トラブルについて答えてくれるChaiの連載です。

※フリーマガジン「Chai」2024年6月号より。