十勝毎日新聞電子版
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2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

頭のけが、落ち着いて対応を~あのね、こどもはね(8)小林謙一氏

 皆さん、こんにちは。今回は家庭内で起きる子どもの「けが」について考えていきたいと思います。

 これまで、お子さんがけがをしてしまったことありませんか。けがといっても骨折や大出血、溺水などといった命に関わる大けがから、擦り傷や切り傷、打撲や捻挫、鼻出血などといった軽いけがまでたくさんあります。

 けがや事故の原因には、転ぶ、落ちる、ぶつかる、物が詰まる、切る・刺さる、挟む・挟まれる、やけど、かまれる・虫に刺される、溺れるといったことがあります。子どもがけがをしやすい部位としては、肘、目、歯、頭、手・手指の順に多く、肘のけがで最も多いのが「脱臼」です。

 幼児期は手を強く引っ張ったり、引っ張られたりして発症する肘内障(ちゅうないしょう)という肘の脱臼が多くみられます。

 けがで親御さんが焦るのが頭です。頭が大きい乳幼児は、どうしても頭や顔のけがが増えてしまいます。頭は頭蓋内出血や頭蓋骨骨折など命に関わる大事故になる可能性があるため、慎重に対応する必要があります。

 ただ、子どもが頭をぶつけた際に頭蓋内出血や頭蓋骨骨折する可能性は、衝撃の強さやぶつけた場所、年齢、体重などといった複数の要因によって左右されます。

 頭蓋内出血は、頭部に大きな力が加わることで発症し、交通事故や高所転落、硬い床や家具に強くぶつけた場合などに発生します。

 頭蓋骨骨折は、頭部に強い直線的な力が加わったときに発症しやすく、勢いよく転倒して硬いものに頭をぶつける、高所から落下して強い打撃を受けることなどで発生します。具体的な衝撃の目安としては、1メートル以上の高さから転落して、硬い表面に直接頭をぶつけた場合に頭蓋骨骨折や脳内出血のリスクが高まります。

 こうしたけがの発生の仕組みや子どもの特徴を知り、成長発達に合わせて予防することで、保護者は落ち着いて対応することができるのではないでしょうか。(小林謙一)

小林謙一先生


<こばやし・けんいち>
 帯広大谷短期大学看護学科教育助手、看護師、日本看護協会小児救急看護認定看護師。専門は小児看護学、基礎看護学。北海道医療大学看護福祉学部看護学科出身、星槎大学大学院教育学研究科教育学専攻修士課程修了。JA北海道厚生連帯広厚生病院を経て2023年4月から現職。短大の仕事のほか、保育士や養護教諭の研修会講師担当。50歳。