十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

納得して治療 子どもも同じ~あのね、こどもはね(5)嶋田純氏

おたふくかぜになった5歳のときの長男。慣れない病気は子どもにとっても不安

 初めまして、看護学科の嶋田純と申します。昨年4月から人生初の十勝生活を楽しんでいます。私は教員より札幌圏の病院で看護師として働いていた方が長く、特に小児科外来に長く勤めてきました。また子どもが4人います。

 今年の春先の花粉アレルギーは大変でしたね。私も鼻水、くしゃみ、目のかゆみに悩まされ、内科、耳鼻科、眼科と受診しました。どの病院でも「今年はアレルギー症状の患者さんが多い」と説明を受けました。

 眼科を受診したある日のこと。5歳くらいの男の子が長い待ち時間を終え、名前を呼ばれて診察室に入って行きました。たまたま次が私の番だったので、近くで待っていました。

 診察室の中から、お医者さんの「…なので、〇〇(目薬)を目に差してくださいね」とお母さんに説明する声が聞こえてきました。診察室のカーテンを開けて、男の子がそれでなくても大きな目をまん丸にしてお母さんを見上げ、「目に何するの!?」と言いながら出てきました。

 男の子は目に何かされると思ったのでしょう。男の子のびっくりした顔と、どのような状態を考えているのかを想像すると、つい吹き出しそうになりました。

 20年以上前に手術室で勤務していたときの話です。耳の手術を受ける3歳の子どもが手術台の上で両耳を手で隠して小さくうずくまり、静かに泣いていることがありました。何をされるか分からず、怖い思いをしていたのだと思います。

 医療の場では「インフォームド・コンセント」という概念がすっかり定着しました。これは医療者から十分な説明を受け、患者がその情報を理解した上で自らの意志で治療を受けるか否かを決定するプロセスで、患者の自己決定権を尊重するものです。子どもだってその子なりに理解し、納得して医療を受けたいですよね。

 医療の場で出会った子どもたちや、子育てを通して教えてもらったことがたくさんあります。私なりに感じたことを今後、つぶやいていきたいと思います。


<しまだ・じゅん>
 看護師、専門は小児看護学。臨床で30年働いた後、札幌市立大学大学院看護学研究科看護学専攻博士前期課程を修了。学修中に北海道教育大学の非常勤講師、修了後に札幌市立大学看護学部特任助教、北海道看護専門学校の実習インストラクター、保育士養成施設「子ども學舎」の非常勤講師の兼務を経て、昨年4月から帯広大谷短大看護学科助教。