十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

十勝で涼む(1)「夏を健やかに過ごすために熱中症の予防と対策」

 活動的になる夏ですが、気温の上昇とともに熱中症になる危険性が高まります。熱中症の防止策や緊急時の対応について帯広厚生病院の加藤医師に聞きました。

熱中症とは?
 私たちは普段、体温調整中枢の働きによって、36〜37℃前後の平熱を保っています。暑い時には血液が皮膚の表面に移動して外気へ放熱し、汗をかいて体温を下げようとします。しかし暑さの中で運動や労働を続けると、熱が蓄積し水分が失われて調整機能の限界を超えることに。やがて体温が上昇してしまうのが熱中症です。

症状と対応について
 熱中症の初期の段階ではめまいや筋肉痛を感じ、症状が進むと頭痛やけんたい感などが現れます。さらに悪化すれば意識障害や肝・腎機能障害などを起こし、命にかかわる場合も。

 身近な人が熱中症になった時は、早急に涼しい場所へ移動させます。体を締め付けないように、首元やウエスト周辺をゆるめましょう。さらに首やわきの下といった、太い血液が流れている場所を冷やします。

診察が必要な症状
 患者の意識がない、反応が悪いというときは、すぐに救急車を呼びましょう。判断に迷ったら、下にある「熱中症の症状と治療について」の表を参考にしてください。「意識があるか」「自力で水を飲めるか」などがポイントになります。表のⅠ度の症状からⅡ度の症状へ移行した場合や、体調不良が続くときも病院へ行きましょう。当てはまらない症状でも、不安がある場合はためらわずに受診してください。


熱中症を予防しよう
 屋外では直射日光を避け、帽子や日傘などの利用を。のどが乾く前にこまめに水を飲むのも大切です。また室内でも熱中症になるので、無理せずエアコンを活用しましょう。

 体温調整の機能が未発達な子どもには、一層の注意が必要です。子どもは頭が低い位置にあるので、地面からの照り返しによる熱の影響を受けやすくなります。外での運動は時々休憩を入れるなど、大人が注意して子どもの体調を見守りましょう。

暑さ指数(WBGT)に沿って行動を
 熱中症になりやすい環境は、気温だけでなく湿度などが関係しています。熱中症の総合的な指標になるのが、暑さ指数(WBGT)。WBGTの数値は 「環境省熱中症予防情報サイト」で確認できます。熱中症になる危険度を分かりやすく表示しているので、お出かけ前に「帯広 WBGT」と検索を!しっかり熱中症の対策をして、短い北海道の夏を楽しみましょう。
参考資料:熱中症環境保健マニュアル2022(環境省)

◆教えてくれた人
加藤航平さん

2005年に札幌医科大学を卒業し、13年から帯広厚生病院で勤務。救急科・主任部長を務め、専門は救急科と外科。

体が暑さに慣れていない時期は、リスクが高まるので注意を!


JA北海道厚生連 帯広厚生病院
帯広市西14条南10丁目1
Tel:0155・65・0101

※フリーマガジン「Chai」2024年8月号より。
※撮影/平栗玲香。写真の無断転用は禁じます。