十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

消費者に選ばれる十勝和牛を育てたい

牛の寝床におがくずをしいて滑らないようにするなど、環境にも配慮して飼養を続ける蛯原部会長

 十勝のブランド和牛として有名な「十勝和牛」。甘みを含んだサシのとろけるようなおいしさが特長の十勝和牛はどのように育てられているのか。十勝和牛振興協議会肥育部会の蛯原一部会長に聞きました。

 「十勝和牛」は、肉専用の黒毛和種。道内で生まれて十勝で肥育された牛で、十勝の生産者403戸(2024年4月現在)でつくる十勝和牛振興協議会の会員が肥育し、ホクレン十勝枝肉市場に上場したものです。

 黒毛和種の生産農家は、子牛を10カ月ほどまで育てる繁殖農家と、さらに20カ月をかけて出荷する肥育農家に分けられます。幕別町忠類で営農する蛯原さんは、繁殖から肥育まで、一貫して手掛けています。

20カ月をかけて約500キロ体重を増やす
 蛯原さんの牛舎には、約350頭の黒毛和種が飼養されており、このうち繁殖用の雌牛が180頭、将来「十勝和牛」になる肥育中の牛が40頭。残りの120頭ほどは10カ月齢未満の育成牛です。この育成牛が成長後、肥育されて「十勝和牛」になったり、繁殖用の牛となります。

 一般的に、十勝和牛の肥育期間は生後10〜30カ月前後まで。十勝和牛は交雑種など他の肉用種より、長い期間をかけて生育します。これによって、和牛の代名詞と言える「サシ」が入るのです。肥育の時期に重要なのが、牛がしっかりと餌を食べて体重を増やすこと。蛯原さんは粗飼料として道産の稲わらや自家製の牧草を与えるほか、栄養たっぷりの配合飼料も給餌しています。体重は10カ月ころの320キロ程度から、出荷時は800〜900キロまで増えていきます。

トウモロコシや大麦が含まれた配合飼料。餌をしっかり食べることで体重が増え、とれる肉の量も増える


ハレの日に選ばれる和牛に
 「お祝いやイベントごとの時に、十勝和牛が第一に選ばれ、食べてもらえる存在にしたい」と蛯原部会長。地域のブランド和牛をさらに広めていくために、生産者は日夜努力を続けています。


十勝和牛の取り扱い店はこちらのHPから


※フリーマガジン「Chai」2024年7月号より。
※写真の無断転用は禁じます。