十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

いいものfromトカチ(48)「創り舎の『クルミの木のかご』」

手前から〈クルミのワンハンドのかご〉15,000円、〈クルミの手提げかご〉22,000円。クルミは時間が経つと赤みが濃くなるため、経年変化も楽しみの一つ。ブレスレットやお守り袋など手掛ける作品は幅広い

 美しい樹皮が織り成す木のかごやかばん。見た目の美しさだけではなく、手にした時の肌触りや優しい香りが、私たちに落ち着くぬくもりを与えてくれます。創り舎の小原康恵さんは白樺、ヤナギ、クルミなどの天然の樹皮を組み合わせ、一つ一つ手作業で編んでいます。

 元々は白樺細工を中心に製作をし、樹皮はロシアや北欧からの輸入品を使用。しかし、世界情勢により材料の入手が困難になったことで、身近にあるクルミやヤナギなど地元十勝の材木を見直すきっかけになりました。使用する材料は、山や道端に生えた雑木というから驚きます。

 製作の8割が編むまでの下準備の時間といい、3〜5mある木を伐採し、皮をはいで、調達します。それゆえ苦労して集めた素材を使って編む時間は至福のとき。数カ月乾燥させたのち、水に浸けて樹皮を軟らかくしたり、なめしなどの作業を経てひごを作り、丁寧に編み込みます。

 「樹皮を入手できるのは初夏の時期のみ。限りがある素材だからこそ、自然の恵みに感謝して使い切りたい」と小原さん。使いやすいようにと、持ち手に栃木レザーの牛革を使用したバックなど機能性とデザイン性を兼ね備えた作品にも注目です。

<小原康恵さん>
帯広市出身。高校卒業後、地元で就職したのち、東京で経理やWeb製作を経験。白樺細工との出合いは、会社員時代に北欧雑貨店に通っていたのがきっかけ。地元に戻り、月に1度札幌の白樺細工教室に通い技術を磨く。不定期で開催するワークショップは予約が取れないほどの人気ぶり。


十勝管内をはじめ、東川町、夕張市などイベント出店時の対面販売のみ。詳しくはインスタグラムにて

いいものfromトカチ
Made in 十勝の良質な雑貨を紹介するChaiの連載です。

※フリーマガジン「Chai」2023年9月号より。
※撮影/辰巳勲。写真の無断転用は禁じます。