十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

金魚がいざなう幻想的な世界「深堀隆介展」

《死せる君影》2023年

金魚がいざなう幻想的な世界
「深堀隆介展 水面のゆらぎの中へ」 好評開催中!


緻密な技術で命を吹き込む驚きと感動の”金魚アート“
 金魚をテーマにした絵画やインスタレーションで、国内外から高い評価を受けている深堀隆介氏。数々のメディアでも取り上げられ、立体的な〝金魚アート〞は「まるで生きているかのよう」と話題を集めています。

 帯広美術館で開かれている「深堀隆介展」では、升の中に金魚が泳ぐ代表作「金魚酒(きんぎょしゅ)」をはじめ、印象的な色合いで鱗を表現した作品や、金魚を通じて死生観を描いた迫力あふれる絵画など、約300点を展示しています。間近で実物を眺めると、その緻密でリアルな技法に引き込まれてしまうはず。

 どこかユーモラスだったり、ダークな雰囲気を感じられたりと、さまざまな作風を楽しめるのも同展の見どころの一つ。お気に入りを探しながら、細部までじっくり鑑賞するのがお勧めです。

《金魚酒 命名 夕舟》2016年


リアルな金魚はこうして生まれる
 器の中に透明な液体の樹脂を流し込み、アクリル絵具で金魚の一部を描いてさらに樹脂を入れる…という作業を繰り返すことで、立体的な作品に仕上がります。

《しめじ丹頂》2005年

《ララ金魚》2020年


◆学芸員さんに聞きました ココが深堀隆介展の見どころ!
 深堀氏の作品に詳しい人も初めて知る人も、より深く展示を楽しむためのポイントを教えてもらいました。

帯広美術館 学芸員 耳塚里沙さん


(1)作品を体感できる工夫がいっぱい
 上から眺めたり、障子のような展示ケースに飾り付けた作品をのぞきこんだりと、多方面から魅力を感じられるようなユニークな展示を用意。自由に写真撮影できるコーナーもあるので、鑑賞の記念にどうぞ。

 撮影できる作品もあります!

《百済》2004年

畳の上を金魚が泳ぐ《方丈ノ夢》(2023年)は、本展初公開

金魚酒と障子を組み合わせた、独創的な展示が目を引く


(2)かわいいだけじゃない不思議な魅力
 かわいらしい金魚ですが、細部を見るにつれグロテスクな雰囲気も。人工的に繁殖された〝作られた美しさ〞が、深堀氏の豊かな発想と相まって怪しい魅力を放ちます。

 鱗を描いた神秘的な作品にも注目!

《鱗象 EA》2019~2020年


(3)進化する技術に注目
 展示は全6章で構成され、深堀氏の作品を年代順に紹介しています。年を経るごとに精密さを増していき、よりリアルな作品へと変化していくのが面白い!

 金魚や花びらによ~く目を凝らして!

《春ノ桶》2020年


展示に関連したイベントを開催
・1月6日(土) ギャラリーツアー
学芸員による解説を聞きながら、より深く作品を鑑賞

・1月13日(土) キッズツアー
子どもたちに向けた、わかりやすく楽しい作品案内

・1月20日(土) キッズミュージアム
子どもが工作に熱中している間、大人はアート鑑賞を

同展限定 すみっコぐらしのコラボグッズも!
 ミュージアムショップでは、深堀氏の作品をモチーフにしたさまざまなグッズを販売。「すみっコぐらし」とコラボしたオリジナル商品など、ここでしか手に入らないものもあるので要チェック!


展示会公式ホームページ https://www.fukahori-exhibit.jp/

※フリーマガジン「Chai」2024年1月号より。
※撮影/写真の無断転用は禁じます。